長崎市大黒町:長崎県営バスターミナル 長崎チャンポン450円の水準

 この店の席に座るのは30年ぶりくらいだ。
 初めて来たのはまだ学生だったころ。
 父母と一緒に、兄一家が住む長崎に旅行で来たとき。
 多分それは熊本へ帰るバスを待っていたときのことだろう。
 バスセンターの食堂でチャンポンを食べた。そのときの旅行では卓袱料理も食べたし、(多分)茂木の料理旅館の海鮮も食べたし、どこかで本格的なチャンポンも食べていた。
 けれど、そのときバスターミナルで食べたチャンポンも、本当に美味しく感じられたのだ。

 「おいしい」という僕に対して、
 そのとき兄は、
 「いや、これ、ターミナルの食堂だから」
 とそれほどでもない感を漂わすのだった。


 いまなら何となく分かる。本場の本格的なお店なら、鶏ガラ、豚骨などから長い時間かけてスープを煮だすものだ。だがバスターミナルの食堂である。そのような設備も、また時間もないはず。


 そういう思い出がある長崎県営バスターミナル。
 今回はしごとで近くに来たこともあって、懐かしい(?)店に入ってみた。ちなみに内装は昔と全く違っている。というか、席の向きが違うことくらいしか覚えていないが。


 注文は自販機でチケットを買ってから。
 そのチケットをおっさんがいるカウンターに出すと、5分後ぐらいに
 「チャンポンのかた〜」
 と呼ばれる。


 値段は450円。
 なればそれほどのもんではないだろう…と思っていると。


 受け取りに行って、見たら、
 なかなかどうして立派なものだ。


 レンゲでまずはスープをずずっと。
 スープはたとえインスタントや業務用でも、野菜や魚介や豚肉を炒め合わせた中にスープを投入するから、意外ときちんとしたそれなりのダシが出ることは出る。
 で、ここのはというと…あれ?うまいじゃないか。


 烏賊ゲソが意外と多く入っていて、海鮮感もバッチリ。
 ずるずると太めのチャンポン麺をすすり、寒暖の差でずるってきた鼻もすすり、一気に平らげたのであった。


 で、結論としては、長崎チャンポンにおいてこの店の450円は最低価格帯に近い方だが、それでいてこの味。
 長崎現地のチャンポンは、やっぱり恐るべしである。