熊本洗馬橋:船場花屋 甘さに驚く城下町の蕎麦屋…ただし、ううむ。

shin_papa402006-05-15

母と家族で船場花屋へ。
ここは母が昔から訪れている店のひとつだ。

店内には和服をさらりと着こなした60歳前後のおばさま方が4人。
お茶の会か何かの帰りであろうか。
表通りは工事中で落ち着かないけれど、店の中は静謐といってもいいシンとした雰囲気。

だけれど、BGMはかかっている。
曲は…ん? リチャード・クレーダーマン?
蕎麦を待つ間、聞くとは無しに聞いていると、どうも有線のチャンネルをイージーリスニング(懐かしいっ)に合わせてあるようだ。
まさか店のコンセプトに合っているからこれにしているわけではあるまい。
とすると、店のヒトが好きだからこれにしたということになる。
店の都合に合わせた客へのサービス、というのはいかがなものか。それについては姉妹ブログの「しんぱぱのほぼ日記」でいずれ書く。

まあ、ここはそのような求道の店ではないということで自分自身を納得させた。
和服のおばさま方も雰囲気だし。


写真の通りボクが頼んだのは天ざるの大盛。
見た目パンチがある。

最初に口をつけるのは、やはり蕎麦。
麺は細め。
太さは1.2ミリくらいか。

よそい方に流れを作ってないため、いい感じで箸で手繰ったつもりでも思いのほか蕎麦麺がついてきてびっくりする。
数回やり直してやっと蕎麦猪口へ。
そしてずるずる。


ほほう。
蕎麦が、甘い。
この甘さは初めてである。
新そばか?
あるいは粉の保管に秘密があるのか?

この甘さは旨いなあ。
古代、日本語の「甘い」と「旨い」の語源は同じであったと聞く。
甘さを愉しみながらずるずる、ずるずる。
麺のコシは…ううむ。
熊本はグルテン系の麺のコシをあまり求めない土地柄であった。
そのセオリーに則っているという感じだろうか。

てんぷらは、まあ、旨いがボクにとっては普通クラス。
福岡のボクがよく行く会社の近くの蕎麦の銘店で、ボクの「天ざるの天」水準も引き上げられているのである。(あくまでも天ざる付随の天という範囲ですが)


と。
ざるというか、簾の上に蕎麦の切れ端がたくさん残るのである。
妻と母も天ざるを頼んでいたので見ると、同じである。
その水っぽい切れ端を集めて、蕎麦猪口へ苦労して入れて、食べる。
行儀がいいウチの大人は残すことを潔しとしない。
日本人としてきちんとした教育を受けた家なら当たり前のことであるが、この店の蕎麦はそれをさせまいとする。
ううむ。心の中でうなってしまう。


ただ、ひとこと、これは言っておかなければなるまい。
折角の甘い銘蕎麦である。
この甘さは一度体験する価値がある。

ああしかし、
その細さが災いしているのであろうか。
手繰りにくい盛り方、そして簾に残る切れ端。
素晴らしい味に対して、その蕎麦の佇(たたず)まい方に恨み節二つである。