熊本市下通:龍の家 熊本に進出した久留米ラーメンは…。

shin_papa402006-10-09

図らずも、久留米ラーメン店に入ってしまったのである。
熊本と博多を往復する生活に入ってから4年が過ぎた。
もう100回は往復している。
熊本ラーメンと博多ラーメンの違いは歴然である。

かたや豚骨スープに、ニンニクを香味油かチップに加工して仕込んでいる。そして一杯が一食になるような量の、麦の滋味を噛み締める麺構成である。

かたや豚骨の癖を生かしたスープに、長浜という火事場(つまり、港町ね)のスピード感に合わせるために茹で上がり時間が短い細麺である。


共通するのは、両方とも久留米を発祥の地としていることだ。
高速で走っているとき、途中で降りて久留米ラーメンでも…と思うのだけれど、家族の「早く目的地に着きたい」という無言の圧力を感じてそのまま突っ走ってしまう。
一般道の場合は、熊本起点で博多に帰るとき、荒尾から柳川に抜け、吉野ヶ里をかすって背振の山を越えて那珂川に下りる。だから久留米を通らない。
一度、荒尾の町の中で「久留米ラーメン」という看板の店に入って、ひどい目にあった。
それ以来、久留米ラーメンは久留米で食おうと固く心に誓ったのである。


昨日、昼過ぎに熊本に着いたボクは腹をすかせて歩いていた。
時間は午後2時過ぎ。
街は藤崎宮秋の例大祭で大騒ぎである。
どこかに入らねば。
でも折角なら初めてのところがいい。


…あった。
場所は新市街アーケードと下通アーケードの交わるところからワシントンホテルへ向かって100メートルほどのところ。
ボクが熊本にいた頃にはなかったお店だ。
ということで入ってみた。


店内は木づくり。
しゃれてる。
店員は元気がいい。揃いの黒いユニフォーム。
カウンターへ通された。
何を食うか決めなくては…とメニューを見ると。


「替玉120円」

…しまった!博多から熊本までわざわざやってきて、博多ラーメンの店に入ってしまったのか!?
こりゃ一生の不覚(それほどでもないが)と思いながら、「とんこく」ラーメンを頼む。

しばらくして出てきた。
真ん中に赤い辛味噌
どこかで見たぞ。

あ。一風堂だ!

気を取り直して、赤い味噌を適当にスープに混ぜ、レンゲでスープを掬う。
〜プーン〜…。
あれ?ニンニクの香味油だ。
博多ラーメンじゃないぞ。

まずはスープをずるずるとすする。
しっかりコクがあるが、塩味きつめのスープ。
それにニンニクの香りが。
どうも、伝統的博多ラーメンの、ケモノ臭さを抜いたコッテリに熊本ラーメンのエッセンスをかぶせたような。

麺は…
細麺。全く博多風。
ワシッと箸で掴んで手繰ると、一気になくなりそうな量。
これは、量的に熊本水準に達していないな。


そこでテーブル上の取り放題のキムチもやしと高菜漬けを投入。
さらにゴマも。
そしてワシワシ食べる、食べる。
もやしのテクスチャーが、しゃきしゃきと歯ざわり新鮮な感じを与える。


まあ、美味いなあ。

後から聞くところによれば、龍の家は久留米ラーメンで、博多一風堂で修行された由。
そこで疑問。龍の家がそうだったように、久留米ラーメンとは熊本ラーメンと博多ラーメンの中間のようなものなのか?
つまり、算数の集合の概念から言えば「交わり」のようなものなのか?

文化の伝播の法則から言えば、そうではなくて公約数のようなもののような気がするのだけれど。


やはり、久留米には一度確認をしに行かねばならん。
そういう使命感に火がついた日曜日であった。