福岡市西新:未羅来留亭 麺が凄い博多豚骨。

shin_papa402007-03-15

昔からちょいとした小路が好きだ。
都会の大きなビルの周囲の、開発から取り残されたしもた屋が立ち並ぶエリア、○○社交街などというアーチがあって、狭い通路のあちらこちらに小料理、スナック、居酒屋などという行灯がかかっていると、もうたまらん。
別に夜の街歩きのときだけではない。
学生のときにはデートで東京の六義園とか行ってて、順路のあちこちに枝道があるから好んで進入していったら、他のカップルの濃厚な場面に出会ったりしていた。誤解されるといかんから先に言っておくけれど、別にそれを見るために行ったのではない。
好きな沖縄でも脇道についつい入り、どうも地神に触れたような不思議な体験をしたこともあった。
要するにボクの人生は脇道好みで、その分変な体験が蓄積していくということらしいのだ。


さて、ある昼下がり。
ちょいと人と待ち合わせることがあった。
その前に腹に何か入れておこうとぶらぶらと西新商店街を歩いていると。
ボク好みの脇道が意外とあるじゃないか。
さすが福岡を代表する商店街のひとつである。
脇道はビルの中を縦横に走っていて、向こう側の道路まで突き抜けていたりするのだ。


太陽の光がさんさんと降り注ぐ商店街から見ると、そのビルの中の小路は薄暗いのだけれど、その向こうにラーメンと書かれた赤い提灯が見える。
提灯手前の「おきなわタコライス」の店にも後ろ髪を引かれながら、ここは初志貫徹である。
「こんちわー」とガラス戸をあけて中に入る。


ラクル、である。
ラクルって、不思議な感じ、ちょいと未来的な感じで昔は大変光り輝いて感じられたコトバである。
ボクくらいの年齢の人なら分かるだろう。
むかし輝いて希望に溢れて感じられたワードが、その意味は変わらず厳然として今もあるけれど、改めて聞けば郷愁を呼び起こすということが。
まさに店の中は昭和の臭い漂う素敵空間だった。


横では高校生が3人、制服を着てラーメンを啜っている。
反対側ではおじさんがビールとラーメンである。


ボクもデフォルトのラーメンを頼む。
リーゼント風にヘアスタイルをきっちり仕上げたお兄さんに、気合を感じる。


でてきた。
キクラゲ入りの、正統博多豚骨。


まずはスープを。
あぁ、正統だ。


次に麺を。
ズズズ。

ん?

ズズズ。

おぉ〜。これは凄い。
麺が、一筋ごとにプツリプツリとアルデンテ。
しかもきちんと麦の味がする、これは熊本の桂花レベルの麦を噛み締める麺である。


ついつい替え玉してしまったさ。
その替え玉も、他店のように皿で麺だけ出てくるんではない。
いちどラーメンを丼ごと引き取って、きちんとスープに泳がせて出てくる。


ここは意外と麺へのこだわりがきっちりしている銘店ではないか?
また来ようっと。