名古屋栄:山本屋総本家 単なるソウルフードから文化遺産へ?

shin_papa402007-03-19

久しぶりの名古屋である。
本来なら、さぁ〜ッ夜の名古屋でズドーンと飲むぞぉとなるところなんであるが。


発熱中なのであった。
流感である。
日ごろの行いが本当に悪いらしい。
名古屋いちの繁華街、栄の赤い灯青い灯がオイデオイデをしているのに、男はコートの襟を立てて、一軒のうどん屋に入るのであった。


入った。
入り口に受付がある。

うどん屋、なのに?


「お一人様〜」という声に乗って席へ案内される。
時間は夜7時くらい。客層は、これから夜の街に繰り出そうという男女。それも少し年が行った、安くない身なりの方々。
ややや、これはフツーのうどん屋ではなかったのか?
メニューが来た。

名古屋コーチン入り味噌煮込みうどん白ご飯つき」がメニューの一番上にあった。
1900円ちょっと。

ふと、ポケットをまさぐって小銭と一枚だけあったはずの千円札を確認した。
なにせ、ホテルを出るときに「どうせうどんイッパイだ」と思って札入れを置いて来たんであった。
何とかいけそうなので、メニューの一番上を頼む。


まつこと15分。
出てきた。

小さな土鍋の中に入って、まだグツグツと煮えている。
「お熱いですから気をつけてくださいねぇ」
そりゃ、見りゃ分かりますばい。


まずはレンゲで汁を啜ってみる。
ふーふーして、と。
うお。
最初に鰹節のダシの香りと旨みがふわんと口の中に広がる。
それを追いかけて八丁味噌の渋みが舌の上をきりりと引き締める。
確かに旨いなあ。


麺はどうかな?
意外と太め。
箸で一本掴んで持ち上げると、
あれ?カーブしたままのカタチで持ち上がるぞ。
これは豪腕系の麺か?
噛んで咀嚼してみると。
おおッ。
この噛み応えは、宮武系「あたりや」のそれに実に近い。
まさに讃岐うどん的。
けれどあの「あたりや」にあった、酸味を感じる麦の味は、どうやら隠れているらしい。

いずれにせよ、ムアンと歯ごたえのない、博多うどんのような「きしめん」という麺の文化の名古屋に、その対極のような豪腕麺が同居しているということが面白い。


白ご飯は味噌の苦味の合間に、一緒に出てきた漬物類で平らげた。
この漬物は薄味で、またうまい。
うどんの強烈な味覚の合間に、いい手拍子を入れている感じ。


問題は、この価格設定かな。
庶民のソウルフードとしては、ちと高い。
店を選べばもっと安いところもあるんだろうなぁ。
でもそれはソウルフードとして「味噌煮込み」を捉えれば、という話であって、山本屋総本家の味の価値から考えると高いという趣旨ではないのでお間違いのないように。


名古屋名物・味噌煮込みうどん未体験の皆様には一度お勧めします。