熊本小島:やよい 意外や鄙に稀なる美麺ハッケン。
ちょいと所用があって熊本市の西側の方へクルマを走らせた。
目的地近くで時計を見るとまさに時間はお昼時。
うっすらと国道沿いに麺屋があったのを覚えていたので、その辺りに行ってみると。
あった。
けれど、麺屋ではなく、麺をはじめとした定食屋であった。
ま、いいか…と暖簾をくぐる。
店内では先客が2名。
一人はてんこ盛りの野菜炒め定食を食っている。
あのボリューム、いいなぁ…。
先日健康診断で「あんたはメタボリックマンだ」と断定されたんであった。
ここはまず量を控えなくてはならん。
「ラーメンください」
単品である。530円である。
カラダにも財布にも優しいのである。
5分ほどして。
「ラーメンですねぇ」とおっちゃんが運んできてくれる。
ほー。
ちょいと透明感を感じる乳白色のスープに、ブラウンの麻油がくっきりと浮かんでいる。
視覚的にもキレイじゃないの。
まずはスープを。
レンゲで救ってズリズリと啜ってみると。
…うすい。
ガツーンと口の中に強烈にスープの味が広がることを期待していた舌が空回りする。
うーん、薄い、なあ。
塩味も薄い感じ。
ンー?と首を捻りながら麺を啜る。
麺は桂花と同じくらい。中太麺のストレートで、キホン白いタイプ。
それが周囲の部分が透明に茹で上がり、中の芯部分を中心に白く固形化している。
まさにアルデンテだ。
ズズズと啜れば、これは素敵。
熊本ラーメンの王道である、小麦を感じる麺食いの醍醐味だ。
と。
食っているうちに、この麺とスープの相性がメチャクチャいいことが分かってきた。
なんとも麺の旨みを活かすのである。
さらに、濃いスープは中盤から食い飽きたり重たくなったりすることがあるが、するすると口に入るのだ。
混ざり合わない麻油が、一口ごとに混ざる量が変化し、味覚的ニュアンスを微妙に変えているのだろう。
凄いワザである。
チャーシューは一枚だけ。でも食い応えのある厚み。
しっかりとした昔ながらのチャーシューだ。
トッピングされている海苔はさすがに海の近くの店であることを思わせる。
他の店のようにパリパリの海苔を丼からはみ出させて視覚的にアピールすることをしていない。
でも海苔の香りがスープや麻油に負けない強さがある。
ついつい、スープまで完食。
薄いスープだが、バランス絶妙で、結局めちゃウマ。
食後に喉が渇くこともなかった。
もう、ホントに脱帽。
熊本の街中から離れて、このような場所にこのような美麺があることに驚いたのである。