東京都新橋:ボンヌッフ 名物ポンヌッフそばうどん。
大学受験のとき、新橋のホテルに泊まった。
そこからボクの東京生活が始まった。
その後、新橋とのご縁はいくつかあるのだが、いつも新橋駅を通るたびに不思議に思っていたことがあった。
JR新橋駅のガード下。銀座線に降りていく番大きな地表の入り口のうえ。
「名物ポンヌッフ そばうどん」という看板がある。
そばうどんというのは、この店が見るからに立ち食いそば屋だからわかるのだが、「名物ポンヌッフ」がわからない。
一体どういう食べ物なんだろう?
ボクの東京生活は大学から若手会社員の時代まで、12年間続いたのだが、そのあいだなぜかその疑問が消えることなく、つまりこの立ち食いそば屋に入って確かめることもなく「???」という状態が続いたのだった。
そして45歳にもなったこの歳になって。
虎ノ門方面でしごとができた。九州から出かけていって目にしたのがこの「ポンヌッフ」。
ああ、ここで疑問を解かしておかなければ、もうそういう機会はないかもしれない。そう思ってついに暖簾をくぐったのであった。
出迎えてくれたのは気のいいパートのおばちゃん。
頼んだのは春菊天のそば。
2分とたたないうちに出てきた。
そこでついデジカメでパチリ。
すると、
「最近、多いのよねぇ。写真を撮るヒト。記録でもつけてんの?」とおばちゃんが尋ねてきた。
それを幸いとして「ポンヌッフって、何のことなんですか?」と尋ね返してみた。このときまでは「ポンヌッフ」が食べ物の名前だと信じて疑わなかったのだが。
「ああ、あれね。
ここ、新橋、でしょ。
フランス語でボンが『橋』で、ヌッフが『新しい』って意味なのよ。
だから新橋にあるから、店の名前がボンヌッフ」
おお。
店の名前でしたか。
しかもボクは12年前に看板を一瞥したときから「ポンヌッフ」という名前だと信じて疑わなかったのだが、どうやら濁った音から始まる「ボンヌッフ」らしいのだ。
さらに、ここ新橋にはボンヌッフグループともいえるお店群があり、駅周辺にドロールコーヒーやらなんやらの多分野の展開をされているということだ。だから立ち食いうどんのボンヌッフには新橋駅ドトールコーヒー・ボンヌッフ店の割引券が置かれていたりする。新橋駅周辺には、ほかの経営によるドトールもあるようだが、そこではその券は使えない。
長年の疑問は氷解したが、ポンヌッフというまだ見ぬ食べ物へのロマンも消えてしまった。少しさびしいところだ。
ここのそば、春菊天は春菊の比率が高くてうまかった。デフォで投入されるわかめも多く、お得感がある一杯である。