福岡市別府:珍竹林 なんちゃない…の金字塔のような。
沖縄県と那覇市でこてこての食生活を過ごした36時間。
その日、午前中に那覇を発って、福岡は別府(ベップじゃないよ。ベフなんだ)の我が街に帰り着いたのは微妙に昼時を外した午後2時前。
空きっ腹状態であるべき胃袋が、なぜかどんよりと重い。
朝飯代わりに食べたエンダー(A&W)のポテトとハンバーガーがまだ胃の中を占拠している…というか昨晩深夜のめちゃ安ステーキに無理があったような。
そういうときは博多いにしえ系のラーメンを軽く啜るくらいがちょうどいいのではないか。
そう思って地下鉄の駅から地上へあがる。
選択肢はいろいろある。
もはや定評ある若手新進いにしえ系のシュビドゥバ、その一本裏道のラーメン研究所だったところ、その他いくつか。
そのなかでいつもは行けない珍竹林を覗いてみた。
なぜ行けないかというと、ここの営業時間にボクの行動時間が合わないのだ。夜中に食べたくなった頃は閉まっている。休日も閉まっている。この日はたまたま平日だったため開店している時間に行き会ったのであった。
店構えは街の中華料理屋さん。
で、入ってみると。
メニューを眺めてびっくり。中華料理屋さんと思いきや壁に書いてあるメニューはラーメンと焼きそばのし。思いっきり思い切りがいい経営なんである。
これで潰れずに今に至っているというのはもしかすると凄い店ではあるまいか。
そう思ってラーメンを頼む。500円。
「ん?ちょっとお高いかな?」
沖縄的価格感覚からすると少々高めに思ってしまうのには我ながら苦笑した。ワンコインは博多ではリーズナボーな価格設定である。
さて。
でてきた麺はまさに博多ラーメンの基本形。
ふわんと少しく獣臭がのぼり立つ一杯は、博多ラーメンの王道。
思わず橋を差し入れ、まずは麺をたぐる。
細めの麺がずるりずるりと口の中へ。ちゅるんちゅるんと踊る踊る。
うまいなあ。
ほっこりと心安らぐ味だ。
どっかりとした肉を那覇でさんざん食ってきた身としては泳いでいるチャーシューの軽さに、また安らぎを感じる。
麺。チャーシュー。ネギ。
きっぱり感さえ思うこの潔さの麺に、脱帽。
一杯のラーメン。少し物足りなく思うくらいが博多風。もっと食べたいときは替え玉をすればいいのだ。
ところでこの店、福岡出身の歌手である徳永英明さんがよくラーメンの出前を取っていた店としてファンには有名らしいんである。
焼きそばも秀逸らしい。
別府の裏通りにひっそりと構えている小さな中華料理店と思っていたが、その実は気骨ある、昔からファンがついている凄いお店だったのかも。
こういう店がさりげなくあるのが別府のよかところ。
そんな思いを胸に感じながら店を後にしたのであった。