長崎市大波止:ひみつ♡ いっ、いきなりチャンポンのトップに
上村愛子選手は残念だった。
幾重にもあった困難に粘り強く立ち向かい、その度に考え方とトレーニングとカラダ造りを変えて、今回のオリンピックに臨んだのである。
ボクはそれをいくつものテレビ番組で知った。
そりゃ美化されているところはあるだろう。
でもあの体躯と滑りの変化を見れば、そのひたむきな努力は推して知るべきだ。
バンクーバーオリンピックの女子モーグル本戦。
あの高くシンプルなエアと、雪のこぶをぶっ壊さんばかりの滑り。
あの斜面を駆け下りてくる上村選手を見たときに上位入賞どころか「こりゃ悪くても銀」と思った人も多いだろう。
だが勝負は冷徹だ。
2位であがったものの、あとの選手が上位に入ることで3位になり、そして4位。
今回もメダルを逃した。
でも女子モーグルの世界選手を見れば30代後半のひともいる。まだまだやれるのではないか。いち視聴者としてはぜひ応援したいところだ。
さて。
その暫定2位のような体験をボクもした。
というか、まさに輝く暫定1位なんだが。
その夜、会社の同僚と、異動するお取引先の若手を連れて飲みに行ったのである。
長崎の新鮮な鯖を使って作る飴色に輝くねっとりとしたしめ鯖を味わい、軽いチーズのような豆腐の味噌漬けを味わい、里芋のおでんを味わい…。ビールに焼酎もきこしめして、いい頃合いになったら、〆の炭水化物だ。
その店には、常連さんだけが知っている裏メニューがある。いつもあるとは限らない。だから「○○○、ありますか?」と尋ねる。
で、「ありますよー」と言う声がこの日は実にうれしかった。
というのは、その1週間ほど前に来たときに。同行の女性がこれを頼み、実にうまそうに食っていたからだ。ボクはそのとき(真夜中なのに)それはそれはうまいビーフシチューを食っていたのだが、そのチャンポンを見たときに「これはただもんじゃないかも知れん」と予感が走ったのだ。
で、目の前にそれが出てきた。
海鮮も野菜も練り物も入った長崎チャンポンである。
見れば野菜がてんこもり。
まずはこの野菜を箸でぐいっと掴んで食べてみると。
おおおおお。春のキャベツが甘いじゃないの。
それをもやしがサポートし、豚肉と練り物の塩気がバランスを取る。
こりゃ、うめえ。
麺を啜りながら、スープを見ると、大人の人差し指くらいの牡蠣が、いくつも…というかこれでもかっというくらいに泳いでいる。
そのスープがまた、うまひっ。
もう、ボクのチャンポン人生において、いきなり暫定1位獲得である。
いや、まだ長崎のチャンポン屋さんを制覇したわけではない。それでももう暫定1位で白いシートに座っている、そういう驚きのうまさとの遭遇だった。
ところで、今回は裏メニューである。
それゆえあえて店名は伏す。
以上、ご了承ください。