熊本市桜町:こむらさき 熊本ラーメンの一方の雄。

shin_papa402006-07-31

ボクの麺系における水準点は何度もいうが「桂花」である。
もう、ボクのパソコンも「けいか」と入力すると何のためらいもなく「桂花」と変換するようになった。機械だって何度も言い聞かせれば分かるのだ。

ところが世の中には「いいや、熊本ラーメンといえば『こむらさき』である」と言い張る人がいるのである。

事実はひとつしかないが、真実はそれを真実と認める人の数ほどあるものである。
自分と違う主張であるからといって、それは間違いでもないし不正確ともいえない。世の中というのはそのようなものだ。


などと達観している場合ではない。
今まで何度も食ってみては、いる。だが愛しい桂花と比べると何か印象に残らない感じがボクにはするのだ。

だがボクは今までのボクではない。ボクには九州の麺文化を踏査するという運命が与えられているのだ。ここはひとつ、無理やりこのブログに印象を残すためにも、再度チャレンジするべきではなかろうか。そういう高邁な思想の元、暖簾をくぐったのである。


熊本交通センター。ボクが小学生になるかならんかの時に開業した。それまで市内数箇所に分かれていたバスターミナルを統合した、熊本県の交通の要衝である。そのときは華々しくオープンしたものの、その後マイカーブームの反動でバス離れが生じて、今は少し寂しい感じになっている。ぜひエコロジーブームに乗って公共交通機関の地位を回復していただき、昔年の殷賑を回復していただきたいものである。

このセンターの地下に熊本ラーメンの心を引き裂くストリートがある。何と、通路を挟んで「桂花」と「こむらさき」が対峙しているのである。ボクも後ろ髪を引かれまくりで、今回は「こむらさき」に入ったのであった。


デフォルトの「ラーメン」もいい。だがここにはトッピングが増強された「王様ラーメン」というメニューがある。これは外せない。だがボクは一方で第5次げっそり計画も進行させている。どうしよう…。
アンビバレント。人間は二律背反に悩みながら文学を生み、精神性を発達させてきたのである。


「王様ラーメンの、麺中盛り、おねがいします」


ボクが通った立教大学の食堂にはラテン語で「理性は食欲に従う」と書いてあった。人間というものは弱いものだ。


「あんたが、弱いんじゃ」という声が聞こえる気がするが、この際放っておこう。


来た。
桂花と違い、ニンニクを焦がしたマー油は浮かんでいない。そのかわり砕いたニンニクチップが泳いでいる。
まずはスープをすする。
鼻に抜けるごま油の香り。もやしがしゃきしゃきというテクスチャー。スープは野菜からのエキスが効いているのだろうか、少し軽い感じがした。
かすかに椎茸の香りも感じる。気のせいかも知れんが。

麺は固くもなく、やわくもなく、麦の噛み締め感は強くない。


総じて桂花よりも軽めの食感である。
これはこれでうまい。
だが、一杯、平らげた後のカタルシスというか、何かがボクには足りない感じがする。


ということで、その後「こむらさきVS桂花」は、父の病室にて姉と大盛り上がりの話題となった。
ウチの兄弟姉妹甥姪(兄弟姉妹はそれぞれの配偶者まで入れる)の17票のうち、「こむらさき」派は3票確定。「桂花」派は2票確定。さあ、あとの12票の行方は、ドッチ!?