番外編 ならば、本場のきしめんを食ってみよう。

shin_papa402006-08-26

川端うどんは、博多を代表するうどんのひとつ。
その腰のある、薄いうどんを堪能したのであれば、街ぐるみで薄めのうどんを「きしめん」と称して独自性を主張する名古屋へ行かずばなるまい。


などと高邁な主張で行ったのではない。
偶然名古屋で仕事があり、訪れたのである。
夜、飲んで締めにきしめんでも…と思っていたが、名古屋の夜は早い。
名店は殆どが20時には店を閉めてしまうんである。
名古屋コーチンの名店も、味噌カツの名店も、味噌煮込みうどんの名店も、そしてきしめんの名店もである。
いずれどの店も閉店の時間はある。
だが、いくらなんでも20時は早かないか?
2年前に行った味噌カツ丼で有名な店は20時閉店であったが、ボク以外に客がいなかった19時半には、ボクという客がいるにも関わらず、テーブルの上にイスを上げて閉店準備を開始していた。そんなところが名古屋という大都市でありながら「田舎」と指摘されるゆえんであろうか。というか、客に失礼だろ。


これまでの人生では名古屋とご縁はなかったが、その2年前に引き続き昨年は2回の訪問、そして今回の訪問となった。


そういうわけで名店に行く時間がなかったのである。
しかし川端うどんを食ったボクとしては何とかしてきしめんもここで押さえておきたい。


最後の最後。新幹線の待合室にはあるだろ…と思ったのは甘かった。名古屋の新幹線駅は通過駅であり、客溜まりを想定してないようである。

えーい。ホームに上がってしまえ。
と。
あるじゃないの。ホームの立ち食いきしめん
え?新幹線の駅って、立ち食い蕎麦とか、ホームにあったっけ?
なんとも、崇高な「夢の超特急」が、地に引き摺り下ろされた感じである。


とはいえ迷わずチケットを買って入店。
掻き揚げのせきしめん。500円である。
九州にはおいしい掻き揚げはあまりないからね。
たまに食べたくなるんである。


出てきたのは予想通り、石油缶で食品卸から供給される、しょうゆ味が勝った出来合いの汁に浸かったきしめん
駅のホームの立ち食いである。最初からレベルを期待するのは無理である。


と。トッピングにふんわりと大きく削った鰹節が。


できあいの汁に、香りと味の深みを与えながらふわふわと湯気に身をくねらせている。
これはやられた!という感じである。
「よくある立ち食い」の一線を、この鰹節で一気に超えてしまった。


麺は、平べったいうどんそのもの。
なぜにこれをわざわざきしめんと呼ぶのか。
まあ、立ち食いなだけに、ソフト麺に毛が生えたような麺ではあるが、鰹節の先制攻撃にうめいうめいと食ったのであった。