鹿児島市堀江町:のぼる屋 かごんまモンのソウルフードらしい。

shin_papa402006-12-09

取材旅行にでかけたとき、東京からのメンバーから鹿児島でラーメンを食べたいという意見がでた。

どこにしようか…。
九州モンとしては、彼ら彼女らに「うおっ、東京では見たことも味わったこともないぞ」と思わせないとつまらんという意地があるのである。
一般的には鹿児島ラーメンといえば「こむらさき」。
でもボクが一般的なところへご案内するのもね。

そこでふと思い出したのが。
数ヶ月前天文館で酔っ払っていたときに、隣のテーブルから聞こえてきた言葉だった。
「やっぱり鹿児島に帰ってくると、のぼる屋だよね〜」
「そうそう、あれは他にないし、あの味で落ち着くわよねー」
そうだ、あそこへ行ってみよう。ボクも正直なところ、行ったことないし。


取材が終わってクルマ2台で市内へ向かう。
時間は昼過ぎ。
そのあたりは妙に混んでいた。
クルマが列を作って並んでいる。
それは近くにある山形屋という百貨店の駐車場待ちの列だった。
こっちは別に無料駐車場でなくてもいいから、その列を突っ切って有料駐車場へ。


のぼる屋は木造の2階建ての町屋風。
1階のカウンター席は比較的満員で、2階に通された。
僕らが通されたのは昔風で言えば4畳半程度の部屋。その段違いに6畳の部屋。仏壇がある。この2階は夜になると店の人が生活をする空間なのかもしれない。

ラーメンを頼む。
一杯1000円。
おおっと。昼飯で、しかもラーメンとしては破格の出費である。
そしてしばし待たされて出てきたのは…。

めちゃ大ぶりのドンブリ。
そしてナミナミと注がれたラーメンとスープ。
ううむ。このボリュームなら、1000円もムベナルカナである。

まずはスープを一口。
一瞬薄めに感じるスープは、そのアトクチから旨みが追いかけてくる。
多分スープ自体は豚骨なのだけれど、本ダレというか、そういうのに椎茸や魚系のものを感じる。
ついつい飲み干したくなるスープである。

麺は極太麺。
ボクの基準である「熊本・桂花」を軽く上回る。
その迫力ある麺をグイグイと食う。
これも小麦の旨みをがっしりと受け止める麺だ。
もしかするとこういう小麦を味わいつくす麺食(パスタ食い)が九州の底流にある伝統なのか。

チャーシューはしっかりと豚の味を残したシンプルな塩味。
トッピングされた豆もやしが、量が多いだけに単調になりがちな麺食のアクセントとなる。
深ネギが、鼻に抜けて嗅覚的なアクセントを加える。

高いけれど。
量も味も一級品。
さらに店が街の最古参の風格。
ああ、これは確かに鹿児島のソウルフードなんだろうなあ。


鹿児島といえば黒豚シャブシャブ、焼酎、そして首折れサバ。
そのような派手な最近の名物とは対極をなす、静かな「らしさ」を醸し出す名麺であった。