熊本市弓削:高菜新漬けの実力を見る驚きの創作麺。

shin_papa402007-01-28

初めてここへ行ったのは7年も前だろうか。
麺の、あまりの旨さに驚いた記憶がある。
そのころは新しくできたバイパス沿いで、周りには工場と畑しかなかった。
(ちょっと誇張入り気味だけど)


いつもクルマで熊本へ帰るときは福岡に近い植木インターで高速を降りる。
けれど、ちょっと足を伸ばして熊本インターで降りれば、あの驚きの中華料理屋「花蓮」に近い事に気がついた。


熊本インターで降りて、阿蘇方面に走る。
白川の大きな河岸段丘を超え、トンネルを抜けて菊陽バイパスに入る…とすぐにホームセンターが左手にある。そのホームセンターにスイッと車を入れて。

停める。

ホームセンターの駐車場に停めて花蓮に行くわけだけれど、不法駐車というわけではない。
だって目指す花蓮のドアに、「クルマは前のホームセンターに停めてください」と書いてあるんだもん。


店内のカウンターに座って、頼んだのは「花蓮麺」。840円。
このような郊外にあって結構強気の価格設定だなと思ったら、近年「光の森」など郊外住宅地とそれに伴う郊外型SCが立ち並び、この辺りは結構な賑わいになっていたのだな。


「弓削」という地名は、その字の通り弓を削る人たちが住んでいたことによる。
つまり江戸期以前は武器製造工場地帯というか、そういう部落集落があったのだ。
もう少し阿蘇方面に行くと鉄砲小路なんてところもあるから、結構一大生産拠点だったのだ。
けれど今は平和な田園都市ではある。


なんてことを考えていたら目の前に「お待たせしましたー」の声と一緒に出てきた。
醤油色ベースに透き通ったスープ。
この店はデフォルト麺が「東京醤油ラーメン」だから、そうなんだろうな。
さて、とレンゲでスープを啜る。


素性のいい醤油ラーメンスープに、ピリカラが加わった大人の味。
おお。昔のまんまじゃわい。


麺は太麺の縮れ系。
スープが良く絡むというよりは、わしわしと食い進む中で自分の食欲を慶賀するというタイプ。
では、ということでワシワシと食う。
当然トッピングも一緒に箸でむんずと掴むことになる。
そのトッピングは…。

厚切りにしたチャーシューを短冊にしたもの。
この肉が意外と食いでがある。
厚みがあるからかな。
5ミリくらいの厚さ。幅は7ミリくらい。
ピリカラだけれど出しゃばり過ぎないスープの中で、グッと重みを感じる肉。
そして。

これは今回びっくりしたんだけれど。
菜っ葉だと思った青野菜を刻んだものは、(多分)阿蘇高菜の新漬けをザクザク刻んだもの。これ自体に微妙な塩味と、高菜漬け特有のニュアンスを感じる。
高菜の炒めたのを薬味に使うのは結構ある。
辛子高菜を薬味としてトッピングしたのも、結構ある。
けれど新漬けを、トッピングの野菜のひとつとして使ったのはここで始めて見た。
しかも、野菜のひとつとして使っているから、普段食べるときよりも大ぶりに切っている。これを口の中で麺と一緒に咀嚼するとき、シャクシャクと爽やかなテクスチャーを感じて面白い。そして、旨い!


7年前は「うわぁ、旨いなあ」というだけで食っていたのだけれど、
これは高菜新漬けの新たな可能性を開いた食い物だったのだ。
改めて思うのだけれど、熊本の麺は、このような既存の地域資産をハイブリッドしていくというのに、もっとチャレンジしていっていいのではないか。


花蓮麺、坦々麺が流行している昨今にあってはややサッパリ系のピリカラ麺ということになるが、なかなかどうして地域資産を生かした技が光る逸品であった。