福岡市赤坂:とたん家 創作系居酒屋のシメは銘スパゲティ。
酒を飲んだ後のラーメンは極めてよろしくない。
よろしくないけれど、うまい。
でもね。
やはり自分の年齢と体型と健康診断の数値を考えると避けなくてはならない部類のものだ。
ラーメンは、確かに減った。
そのぶんシメのスパゲティというのが頭をもたげてきた。
福岡にはそのための最後の炭水化物をスパや素麺で準備している居酒屋やバーが多い。
先日、日帰り出張から結構疲労困憊の体(てい)で帰社してきたところ、
会社の50メートル手前で会社の先輩に捕まってしまった。
どちらかというと喜んで捕まったというべきか。
そこで飲みに行こうということになったんである。
とはいえこちらは出張から帰ってきて、まだ会社にタッチもしていない。
そこで30分後にお店に行くことにしてその場は別れた。
意外と指示の伝達などに時間を食って、
お店に入ったのは45分後。
このお店、とたん家は玄界灘の新鮮な魚を使った料理が得意。
「創作料理」なんて書いてあるけれど、実はベーシックな料理もうまい。
例えばこの日食べた「赤ムツの粗炊き」
ギョギョッとするような量で出てくる。
骨付きの肉片やゼラチン質にかぶりつき、歯でこそぎ落として食べると、
焼酎が進む進む。
九州に生まれた幸せを感じる瞬間である。
さてそのように楽しい酒宴は終わりに近づき。
最後にもう一押し、炭水化物を腹に入れて帰ろうかなと考えた。
ここからならば警固交差点の「けいじ」とかもいいな。
「秀ちゃん」だと少々重いかな…などと考えながらメニューを覗き込んでいたら。
「本日のスパゲティ」というのがあるじゃないの。
玄海の魚をゴンゴン食した後である。
それまでは和風居酒屋一辺倒の雰囲気だったのだけれど、
このメニューのお陰でちょっとイタリア風のバールのように洒落て見えてきたぞ。
「すみません。スパゲティください」
10分後くらいに出てきたスパは。
春菊だったけな?苦味がある葉野菜と、擂り黒ゴマと、ベーコンかな。
それがニンニクの香りをきれいに移されたオリーブオイルにまみれて。
それまでは九州風の醤油味をベースとしていた甘みの強い魚料理。
それらをキリッとしたドライな焼酎で舌を洗いながら食ってたのだが。
…。
ズルリと食ったスパの葉野菜の苦味が舌に新鮮な味覚を呼び起こしてくれる。
ゴマとオリーブとニンニクの香り。
ベーコンの塩分のみをキホンとしたほんのりとした味付け。
ううう、うまいなあ。
「このスパゲティは創作ですが、どうですか?」
大将が尋ねてくるが、美味くないわけはありまッしぇん。
かえってこの「苦味」をここに持ってきた分、お店の底力を感じましたですばい。