福岡市大名:ウエスト さる偉い方も大好き、福岡モンは皆大好き。
今を去ること4年半ほど前。
福岡の県知事の方と直接お会いする機会があった。
二人っきりというわけではなかったが、
何か気の利いた会話を交わさなくてはならないような雰囲気になった。
かといって、そのころは福岡県民初心者のボク。
福岡県の郷土意識に立脚した会話はまだできない。
政治向きのことはよく分からないボク。
下手な床屋政談をすると嫌われそうである。
ついつい、口をついて出たのは。
「好きな食べ物はなんですか?」
ああ。
情けない。
もう少し切れ味のある話題が切り出せんか?と今でも思うよ。
けど。
「ああ、うどんが、いいねえ」
なんと。
麺類でっか?
ついつい図に乗ったボクは。
「どこか、お勧めの店、とかありますか?」
知事といえば、
その地域で一番偉いヒトである。
思えば、
そういうヒトに、
ボク向けのお勧めの店を尋ねる…というのも、どうかとは思う。
しかし一方で、
ちょいと値の張る、さすが博多のうどんだァという店の名前が出てくると、思った。
「ウェストが、いいなあ」
へ?
ウェスト、ですか?
「そうだよ、しん○○君。
だって、腹いっぱいになって、500円でお釣りが来るんだよ」
ああ、素晴らしいかただ、と思いましたね。
食の強欲と、性の強欲、それに名声の強欲がなければ、それは清廉な政治家なんではなかろうかと思う。
この方は苦学して通産省に入り、イギリスのサッチャー改革を英国大使館勤務の際に見届け、そのときからの理想と手腕を現在も発揮し続けていると聞く。
その方が、「500円でお釣りが来るから、ウェストのうどん」というのである。
どうやら勤務先の近くにある店舗に一人でブラリと出かけたりもしているらしい。
それ以来、一度きっちりと行って見なくてはと思っていた。
その課題のウェストのうどん。
今回は大名1丁目の店で食してみた。
頼んだのは
鰯フライとうどんのセット。
うどんはそのままだと素うどんになるので、月見にしてもらった。
テーブルの上には
テンカスとネギが入れ放題とばかり置かれている。
博多のうどん屋はこうでなくては。
しばらくして、来た。
うどんは日清製粉だかと共同開発した冷凍麺。
しかし冷凍だからと侮ってはいけない。
ぷりゅん、しこしことしたうどんは、そこいらのうどん屋のものを大きく凌駕する。
思いのほか待たされたのは、
鰯を最初から揚げていたからだ。
齧ると熱々で、
断面から湯気が立ち上る。
うまいなあ。
スメは意外と薄味で上品だ。
そしてお楽しみのお値段は、
月見のトッピングを入れても、
470円だったか。
どうよ、やっぱり500円を切っている。
さすが、知事推薦の博多のソウルフードである(しかも旨い)。
恐るべし、ウェスト、である。