熊本市城東町:ホテルキャッスル桃花源 天下の名酸辣湯麺。

桃花源の酸辣湯麺

読み終わった。
池波正太郎の小説である。

まず最初に「真田太平記」。
やや厚めの文庫本で全12巻。
良く頑張ったものだ。
けれどその世界観に浸ると一気に読めてしまう、そうして人間として生きることと死ぬことの大事さが、よく分かってくるという名小説だった。


と。
その中に熊本人としては外すべからざる事項が記載されている。
熊本城と加藤清正のことである。


というわけで、
読了した。
池波正太郎の「火の国の城」。
丹波忍びの活躍と生き方を描きながら、熊本城と加藤清正のことを描ききった小説。
やや厚めの文庫本で上下2冊である。


ボクは、熊本城は秀吉と清正による「島津押さえ」のための城だと聞かされて育った。
でもどうやら違うようなのである。
ソレにしては立派過ぎるのである。
南方面に出城もない。
池波文学では、秀頼を迎えて新豊臣政権樹立の砦にするべく建てられたとある。
それなら合点がいく。
周囲8キロの城域は、国内のほかの城の追随を許さない。
大阪城は秀吉の本拠地だから別格としても、福岡城岡山城はこれと比べるとおもちゃに見え、名古屋城江戸城でさえ迫力不足と思う。


なるほど。
そう考えれば飯田丸の辺りの石垣の波状の郭造りは、攻める側から見ればヤバイ感じだし、
西の三の丸からの郭造りは「何千人がここに篭城するつもりだ?」と思うほど広くゆとりある造りになっている。
何しろ城内の井戸の数が、凄い。


てなことを考えていたら、
熊本城を遠景でもいいから見たくなってきた。


そうしてやってきた熊本の町。
小腹が空いたら、やはりこの際、食べるのはそれこそ「城」と名のついた熊本ホテルキャッスルの麺でしょう。


頼んだのは酸辣湯麺
「生卵、入れますか?」
オーダーのときにウェイトレスの人が確認してくれる。
入れると、辛い味の中に一休みの味の変化を楽しむことができる。(ボクはやらないけど)混ぜれば辛味がまろやかにもなるんだろ。


しばらくして、来た。
ボクがここで酸辣湯麺を最初に食べたのは、もう8年ほども前のことになるか。
そのときもちょっとした衝撃だった。
今もそのときの思いは、変わらない。


見た目、真っ赤なスープの表面。
これはイカンと最初は思う。


でレンゲですくってまずスープをズズズと楽しむ。
すると。
最初はラー油のピリリリリとした感触。
そのあとを追って柔らかな酸味が口の中に広がる。
さらに。
鳥ベースできっと火腿ハムなどが入ってるんだろう、深みのある旨みのスープが、舌の周りを泳ぎながらのどの奥へ。


確かにね。
ホテルの中華、だからね。
そんじょそこらのスープとは、違うよ…という「えへん」という感じが横溢。
でもね、これがそう高くない!というところが、熊本ホテルキャッスル桃花源の(つまりは斉藤社長と社員の皆様の努力)の素晴らしさなんである。


鶏肉とモヤシのトッピングで舌を休ませながら、
麺をズズズっと啜る。


うまいなあ。


途中で生卵一気飲み。


口の中が新鮮になったところで、
また、至福の酢辣スープをズズズ。


ああ。
うまいなあ。


きっと加藤清正が今生きていたら、
毎日これを食べるためにお城から降りてくるぞ。
(たまには五目湯麺とか坦々麺とかにするとも思うが)


最近、いくつかの店で同様の麺を出すようになってきたけど、
今ひとつここの味には追いついていないような気がする。
それで値段は、サービス料まで入れて1200円くらいかな。
満足の酸辣湯麺の一杯であった。