福岡市店屋町:ひさや バチバチバチと鳴る驚愕の天そば。

shin_papa402007-07-31

同級生から「忙しいのか、麺の魔大陸の更新がない」と励ましのメールを頂いた。


ん?

と思ってみてみたら、
ホントだ。今月3つしか書いとらん。
忙しいといえば、確かに、ここ数年間で3本の指に入るくらいの状況にある。


「忙しいとは、ココロを無くす…と書く」。
イカイカン。


さて。
今回はサラリーマンの風上にもおけない、1200円で蕎麦一杯という話である。
大盛りでも、おにぎりをつけてるわけでもないぞ。
しかも蕎麦といえば、腹持ちが悪い。
ラーメンのように油分やトッピングの肉で腹持ちを調節するわけにも行かないんだぞ。
それでも、
ここの天ぷらそばは取り上げざるを得んのである。


あるメチャ暑いカンカン照りの平日の昼。
こーんなに暑いんだから、熱いものを食わないと体調が壊れると思った。
冷たいものばかり飲んだり食ったりしていたらお腹がダメになってしまう。


そこで向かったのが博多リバレインの方。
このあたり、呉服町、冷泉町、土居町と昔ながらの町名が残る一帯。
町が人のサイズにできていて大変気持ちがいいのである。
昔(といっても35年位前まで)は、この辺りが博多の街の中心だったらしい。
今は天神でブイブイいわしている博多大丸も、今はなき壽屋もこの近くにあって一大ショッピングセンターとして庶民の生活を支えていたという。


さてリバレイン前から明治通りの反対方向へ路地を入ると、「古式生そば ひさや」がある。
思えば初めてきた日もイイ天気の暑い日であった。


店に入って頼むのは「天ぷらそば」。
1200円である。
この店の価格帯では上から数えた方が早い、この店のぜいたく品の部類に入る。
でも赤坂の照月庵の天ぷらそばと比べると、劇的に高い。
それでもここの天ぷらそばはここで頼む理由がある。


しばらくすると、おばちゃんが運んでくる。


バチバチバチバチ…」
という音とともに。


バチバチバチバチという音がするそばって見たことありますか?
ボクは10年前に従兄弟から連れてきてもらったとき初めて見た。


音の正体は、揚げたての大ぶりのエビの天ぷらがそばの汁に撥ねている音なんである。
アッツ熱の天ぷらの音なんである。


最初に天ぷらを齧ってはいけない。
間違いなく唇と舌をやけどする。
だから最初は汁を啜るのである。

ズズズ。

啜っている間にも、(小さくなっていくが)バチバチバチパチパチパチ…と撥ねている音は続く。
揚げ油の胡麻の香りがプンとする。


オモムロに蕎麦を手繰ってみる。
田舎風である。
江戸風ではない。
当たり前である。博多の「古式そば」だからである。
思えばこのブログでは謝国銘によって「博多が一般ピーポーの日本の麺(パスタ)食発祥の地」になったと(無理やり)いいながら書いているが、そしてそれによってウドンを取り上げたりしているが、謝国銘が衆上に振舞ったのは実は救荒食の蕎麦だという。

その舞台となった承天寺の近くで「古式」と名乗るからには、その伝統を引き継いでいるのか…?と思いきや、それは関係ないらしい。


天ぷらの音が落ち着いたところで、
やっと齧ってみる。
大ぶりの天ぷらは、ちゃんと先っぽの方までエビが入っている。
やはり立ち食いのコロモだけで大きくしたヤツとは違うなあ。


で、ずるずると食って、
10分くらいでサラリーマンの昼飯が終わるんである。


10分間、1200円のエンタテインメント。
バチバチバチ」と「汁のうまさ」と「謝国銘をなんとなく思いながら楽しむ古式蕎麦」。
他では味わえない風情の一杯。


ま、一度どうですかね?