福岡市赤坂:十八番 チャンポンバリエを楽しむ。

shin_papa402007-10-23

えてして文化習俗に対する態度は大きく二つに分けられる。
ひとつはその正統な源流を守ろうとするもの。
もうひとつは、その文化習俗の特異性にバリエーションを加えて進化(変化)させるもの。
どちらが正しいか?
どちらも正しい場合が多い。だがその双方がお互いを「カタブツ」「基本から外れている」と認めない言動をしている場合も多い。
渦中にいると相手方を見ながら腹が立つもの。
だが少し離れたところからこれを見ていると、その両輪があって文化が深まっている場合が多い。

さてチャンポンの邪道シリーズ第2弾である。
別に第1弾と銘打ったことはないが、前にこのブログで取り上げた「カレーチャンポン」は、チャンポン界からずれば「なんてことをしてくれたんだよォ」という一品に違いない。だが長崎生まれのチャンポンは、野菜や肉や海産物やさつま揚げやかまぼこを炒めて、トリガラあるいは豚骨のスープに塩味調味と太麺という基本を押さえつつ、福岡博多100万都市の工夫力によってカレー粉という添加物を与えられた。日本のほかの地域のどこにもないチャンポンのバリエがここに誕生したのである。

だがそれだけに留まらない。
その第2弾の添加物は「味噌」である。
チェーン展開しているリンガーハットがメニューに早くから加えているが、それ以前から福岡博多の町には味噌チャンポンが存在していた。
長崎では邪道である味噌チャンポン。だが福岡博多100万都市で生まれ、広く市民に愛されている。そこで関東関西の大都市圏に進出するにあたってそれを参考にしたことは想像に難くない。

であれば、ボクもその福岡博多の味を知らないで済ますことはできない。
そこで向かったのは福岡城は赤坂のお濠を埋め立てた跡に立つスーパーマーケットのサニーの地下にある、知る人ぞ知る中華「十八番」。

そのときものすごく腹が減っていたボクは「味噌チャンポンの大盛ください」と頼んでしまった。

…。

きた。
器をカウンター越しに受け取るとずっしりと重い。
大盛を頼んだことを後悔した。

とりあえず手元にドンブリを置く。
プーンと味噌とトリガラか豚骨のスープの香りが混ざり合って鼻腔をくすぐる。
ニンニクも加えてあるのかな。
香ばしい何かも感じる。
旨そうである。

まずはレンゲでスープをズズズズ。
ほほー。
味噌ラーメンよりはやわらかいスープが口の中に広がる。
コレは、旨い。
チャンポンのスープなんだが、味噌が、確かにミソである。
いいなあ、これ。

野菜もいっぱい。
豚肉がいい感じに入っている。


なーるほど。
福岡博多の人たちは、長崎生まれのチャンポンに味噌とかカレー粉とかの添加物入れたり、麺を手打ちにしたりして面白がったのだな。
これは麺食発生の地である福岡博多の特性かも知れん。
いや、港町特有の「いろいろ受け入れてみる」というヤツか?
正統は正統として長崎で食えばいい。
福岡ではバリエの開発にトライする。そしてそれを一定のレベルまで創り上げて、日本最西端の100万都市民こぞってコッソリとズルズル楽しんでいるのである。