佐世保市三浦町:大善 食後8時間、腹一杯の皿うどん

shin_papa402008-06-20

 佐世保ハンバーガーの街だと思っていた。昭和25年頃に駐留米軍からレシピが伝えられたと、日本におけるハンバーガー伝来の地として町おこしが行われている。ボクも3年ほど前に訪れて、アメリカンバーガーという店でとんでもなくデカいハンバーガーを買って西海公園で食べたことを覚えている。デカいばかりじゃなく、旨かった。佐世保には中央資本のハンバーガーチェーンが進出できないという。それは味的に佐世保市民を満足させられないからだと聞いた。


 昨日はしごとで佐世保出張。昼時に着いたので佐世保らしいものを食べたいなあと駅の観光案内に行った。リーフレット類を見ると、やはり推奨しているのはハンバーガーのようだが、駅の近くに銘店がない。いくつかあるが歴史的に新しい店のようだ。米軍さんが満足して食った…という商品にまつわるストーリーが、新しい店にはない。その点がボクにはアピールしなかったので、駅の周りを歩いてみることにした。


 と、「長崎ちゃんぽん」の看板が。
 佐世保まで来て「長崎」ちゃんぽんはなかろうと思いながら近づいてみると。ガード下の袋小路のようになっているところに飲食店が5、6店集まっている。しかも入り口付近で向かい合っている2店はいずれもチャンポン・皿うどんをメインとした店。まさに「慶徳まんじゅう」「慶徳堀まんじゅう」状態である。期待できるかもと思いながら店先の蝋細工を見ると…。うぉっとびっくり。普通盛りはきわめて普通なんだが、大盛りというのが洗面器ほどもあるデカさ。しかも特大盛りというのまであるらしい。これは入って見らねば。


 カウンターに座って、「皿うどんください」と頼む。
 店のおばちゃんが柔らかい麺とパリパリ麺の選択を聞いてくるので「パリ麺で」と答えると、さらに「玉子も乗せられますよ」と畳み掛けてくる。やるなあ。ハンバーガーのピクルス抜きじゃないが、一杯の皿うどんにも自分の味にするための選択肢があるのだ。


 で、運ばれてきましたよ。

 思わず笑ってしまった。

 もう、店先の商品見本そのまま。


 ハンバーガーといえば20年以上前に店頭の商品表示で公正取引委員会から叱られたことがあった。対象はチェーン店のもの。バンズからはみ出すように大きく分厚いパテ。マッ○にも○ッテリアにも、そういう店頭表示があふれていた。でもいざ買ってみればパテはバンズに隠れて見えないし、バンズを開けてみればパテの厚さはせいぜい4ミリというところだ。その指導の後しばらくおとなしかったが、最近のチェーン系の商品写真がまた現物から遊離してきたことについては皆気づいていると思う。○ックの何枚重ねモノなんて写真では相当の高さがあるのだが、実物はヘナヘナである。
 数年前に食べた佐世保バーガーは、あまりにも商品見本そのままのデカさで笑ってしまったのだが。


 で、この皿うどん、重ねていうが本当に商品見本そのまま。洗面器のような皿に盛られている。写真では大きさが分かるように携帯電話やお冷やのコップを入れてみたがいかがだろうか。


 いつまでも笑いおののいている分けにはいかない。先ずは食ってみなくてはなるめい。
 グッと箸を入れ、餡とともに具材を掬い、その下に潜んでいるパリ麺も若干掴みながら口の中に入れる。味は悪くない。塩、胡椒、少しの化調、全体をまとめる野菜、肉、海産物の旨味が口の中に広がる。よかばいよかばい。


 具材は、思いつくままに並べてみるとキクラゲ、もやし、白菜、イカ、ネギ、竹輪、エビ、チャンポン用蒲鉾、豚肉、牡蠣。特に牡蠣の旨味がすごい。プリッとした牡蠣が4つも5つも入っていた。


 これで1,000円。ありがたい値段である。しかも昼に食って、夜8時くらいまで満腹感が持続。パリ麺は特にカロリーが高いんだが、この満腹感のコストパフォーマンスたるや凄みさえあった。もしかすると佐世保ハンバーガーといい、この凄みある食い物のデカさという路線で行こうとしてるんじゃないか。世の中がソフィスティケートされていくなかで、それはそれで素晴らしいことだと思う。