福岡市別府:黒田節 博多一番鶏と博多うどんの出会い。
博多はうどんの街だ。
ここのうどんは腰があってはいけない。テロテロの、ふにゅふにゅというのが身上だ。最近、腰があるうどんを出す店がちらほらと見えてきた。そんな軟弱なことではイカン。それを守りきれるかどうか、博多モンの気骨がどれほどのものかが問われている。
で、別項ブログで書いたように炎天の下、1時間40分も歩いてたどり着いた別府の街。延々歩いてきた道のドン突きにこの店がある。強い日差しにアタマがやられてしまったせいか、店に入るまで入ったら何を頼むかということを考えてなかった。麺もそこそこ旨いが、マグロ丼やその他の丼ものも旨い。
店に入って特製ハブ茶をコップに2杯飲んで、おもむろにメニューを開く。前述のように麺の他、丼ものなどが充実しているのでメニューも分厚い。
すると、麺のところに「一番鶏うどん」というメニューを発見。一番鶏といえば福岡県が開発した地鶏の血が混じる食用鶏の逸品、博多一番鶏ではないか。これを頼まずして、どうする。
5分ほど待つとお姉さんが「はいどうぞ」と持ってきてくれた。
デフォで白胡椒がかかっている。和風の返しが効いたダシの香りというよりは、胡椒の香気に支えられた鶏の香りが勝っている印象だ。
ではではと、まずはスメを啜る。
基本は和風だし。そこにもしかすると鶏スープが加えられているのだろうか、ちょっと違った印象がある。白胡椒が存在を主張しているからかも知れない。汗をかきまくって水分と塩分を失ったカラダにしみ込んで行く旨さだ。
次に麺をたぐる。
心持ち太めの、腰なしうどん。うーん、よかよか。
トッピングを絡めてさらに麺を啜る。
と、トッピングのなかにごぼうのささがきがあって、これがシャキリとしたテクスチャーと、ダシや鶏の予定調和的うまさへ土性骨のあるカウンターパンチを浴びせる。おお、これを合わせるとは強力(ごうりき)な技だわい。
ネギの辛み甘みに、鶏の旨味。この対比もいい。鶏は確かに歯ごたえがあり、噛み締めるごとに旨さがでてくるようである。
これは博多うどんの地平に新しい境地を開く麺ではないか。
思えば博多は古来からの貿易港。中世の頃には、平戸や長崎の津を経て胡椒も到来していたのではないか。そうでなくても長崎由来のチャンポンにカレー粉を入れてカレーチャンポンを生み出す土地柄だ。このような新しい取り組みを他の店もどしどしやって行ってほしいものだ。
そう思いながら一気に完食した。旨かった。ごちそうさまでした。