長崎県長崎市:永楽苑 大汗かきかき、しいたけ肉そば。
日差しがくっきりと強くなり、楠の新緑が萌え立つこのごろである。
営業で外回りをしているといやおうなしに汗をかく。
特には上り坂と下り坂、そして階段しかない長崎ではなおさらである。
そんなくそ暑いこのごろにあって、さらに汗をかくことが分かっていてもつい食欲中枢を刺激される麺もの、それが永楽苑のしいたけ肉そばだ。
会社の先輩から教わったこの店。
値段もリーズナボー。
先日、例によってドピーカンの下歩いていたボクは、
「そうだ、永楽苑に行こう」と思い立ち、県庁前からとっとこと坂を下りて向かったのである。
時間は午後1時前。サラリーマンや公務員の客が多いこの店は、すでに混雑のピークを過ぎている頃だ。
狭い間口のガラス戸をがらりと開けると、カウンターが目に入る。この店にはカウンター席と、奥と二階に座敷席がある。
思ったとおりカウンターに空き席があり、そこに座るようにお店のおばちゃんから案内された。
ところでこのカウンターだが、実に奥行きが無い。
昔の和裁用の作業机程度の幅。といっても分かりにくいかも知れん。ちょっと極端だが、奥行き40センチくらいと言っておこう。その向こうはおばちゃんたちが右に左に歩いているのである。最初行ったときはびっくりした。今ではさすがに慣れてきたが。
頼んだのはもちろん、しいたけ肉そば。580円。頼んだあと手持ち無沙汰にしていると、おばちゃんがスポーツ新聞を持ってきてくれた。それを詠みながら、待つ。
5分くらいして出てきた。
まごうことない中華麺の料理なんだが、とろみをつけられたスープによる餡で、麺が見えない。
それに箸をグッと突っ込んで、下から麺をはさみ、すくい上げる。
ずずずと啜ると、とろみがつけられたスープが面にまとわりついて…。
熱い!。
だが、その向こうに鶏がらダシと、しいたけから出たのであろうウマミがこんにちは。
ああ、いつもどおりうまいなあ。
あとはレンゲでとろみスープを啜り、具材のたけのこ、白菜、豚肉、たまねぎ、ニンジンなどを食べ、麺を啜るのみ。
特におおぶりのシイタケをかじるとき、なんとも幸せになる。
とろみスープのせいか、お腹の中が温かくなり、額と背中からじわりと汗をかき始める。ああーっ来たきたーっという感じ。
さて、ここの麺は細麺で、玉子麺なのかな。多加水系だと思う。麺の小麦のウマミというよりは、スープと渾然一体となった味わいを演出する麺だと思う。
と。
横のお客さんが
「○○○麺はできるねー?」(○○○はよく聞き取れなかった)
と尋ねると、おばちゃんが
「今日は極細麺が残ってるからできるよー」と答えていた。
ムムムッ!極細麺?それは何だ?
そのお客さんとこに出てきた料理を見れば、どうも鳥葱中華そばみたいなもんだと思った。これは次回、試してみなくては。そう心に固く誓った永楽苑の午後であった。