長崎県長崎市:永楽苑 極細麺の快楽。かいしろーめん。

shin_papa402009-07-09

 前回ここ永楽苑に来たときに小耳に挟んだ会話。
 「○○麺はできるね?」と店に入ってきた常連さんが聞くと、店のおばちゃんが「今日は極細麺が残ってるからできるよー」と答えていた。

 ムムム!
 極細麺?そりゃなんだ?と疑問に抱き続けて数週間。ついに永楽苑を訪れる機会に恵まれた。この機を逃してなるものか。


 で、ここのメニューにはいろんな麺が載っているのだが、その中で極細麺を使っているものというと…。
 
 メニューの中にひとつだけ「特製」というワードがアタマについているものがある。これに違いない。

 特製鶏絲肉麺と書いてある。…読めんがな。でもすぐ下に読み仮名というわけでもないだろうが、「かいしろーめん」と書いてある。

 「あの、かいしろーめん、今日はできますか」
 するとお店のお姉さんが、
 「極細の特別の麺だから、ちょっと聞いてきますね」と厨房のほうに引っ込んだ。

 ビンゴ!

 で、1分も立たないうちに出てきて、
 「できます」と宣言。
 「じゃ、お願いします」とオーダー。
 未だかつてない麺に出会うと思うと、なんとなくワクワクしてくる。そういえば近年ワクワクすることって、なかったなぁ。


 しばらくして出てきた。
 テーブルの上のかいしろーめんをしばし眺める。
 ここの名物しいたけ肉そばとおなじく、半透明となったとろりとした餡がかかった面立ち。
 トッピングは鶏肉、筍、しいたけ、黄緑に見えるのはキャベツかな。


 ここの名物しいたけ肉そばと比べると色見はコントラストに乏しい。けどシンプルな色構成が上品な感じでもある。


 ではではと、まずは麺をたぐってみる。
 いつもなら、「まずはスープを…」と行くところだが、何しろ特製の極細麺だ。早くご対面したいではないか。


 写真で見ると細さがわかりにくいかも知れん。


 その麺をぐいと箸で持ち上げ、ずずずっと啜ってみる。


 うおあっちっちっ。

 めちゃ熱っ。

 とろみをもったスープがもろに口の中に飛び込んできたのだ。下唇のすぐ内側が火傷してべろんとなった感じがした。
 やっちゃったな、そう思ったのだが一方では思いがけない旨さが口の中に広がっているのだ。
 旨さと書いたが、生まれて初めての食感といってもいい。


 極細麺が塊のようになって口の中に入ってきたのだ。麺を啜るというよりも、そのマッシブ感に驚く。
 その塊を作っている一筋ひとすじの麺の間に、とろみのスープが絡められて、やたら汁気のある柔らかい小麦の物体。
 そう表現するしかない。


 あまりの面白さにわしわし食べて、もう口の中火傷だらけ。


 でも、よし。
 スープは鶏ガラスープをベースとしていて、その素直な旨さが口一杯に広がる。
 鶏肉のさっぱりネッチリと、筍のシャクシャク。椎茸が旨味を倍加させる。


 ああ、おいしかった。


 でもこの店の麺類は、まだまだたくさんあるんである。
 当然見たことがないネーミングのオンパレード。
 チャンポンとか皿うどんも旨いらしい。
 上海焼きそばというのもあり、これは麺自体は蒸したものを使うらしい。


 この店に行くと、メニューを見ながら「ああ、あれも食べたい、これも食べたい」と煩悩の塊にならざるを得ない。
 悩ましい店なんである。