横浜市横浜駅:匠〜Jang〜 うまいぞ玄妙複雑な香りと味の麻辣担担麺

shin_papa402010-03-21

 横浜に住んだことはない。
 横浜に住む女の子とつきあったことはあった。
 横浜にはいまも仲がいい大学時代の仲間がいる。彼も同業者となって東京で活躍している。
 そんなわけで彼や彼女らとよく遊び回った横浜駅にはいくつも思い出がある。
 多くは待ち合わせしたときの思い出だったり、仲間がバイトしていたロッテリアに行ったときの思い出など。
 そしてその後、女の子に振られたりしてすっかり横浜から足が遠のいていた。


 先日たまたま横浜駅の近くで仕事があり、懐かしい場所を訪れてみたのだが。さすがに20年ほどの時の移ろいというのは凄まじいもので。
 よく待ち合わせをしていた通称「バケツ」、バケツをいくつも吊り下げた巨大モビールで噴水と組み合わせられていた名物のオブジェはなくなっていた。そごうが東口に出来て青息吐息だった高島屋は、いまや逆に大繁盛店になっていた。
 時代はどんどん変わって行くなあ。


 東口の地下にあった、友人がバイトしていたロッテリアはなくなっていた。
 その前を通りながらふと見ると、そこから30メートルくらいのところに、なんだか魅力的な麺屋が店を開けている。どーんと大きな麺の写真が壁に貼られいて、ボクをおいでおいでしているようだ。
 ちょうどお昼どき。
 なれば啜ってみるか。


 この店の売りは担々麺とか麻婆豆腐とからしい。
 四川系売れ筋のアイテムの店だ。
 麺類でもいくつかのメニューがあった。ふつうの担々麺に辛味を増強した物だろう、麻辣担担麺というのが目を引く。
 引かれた勢いで頼んでみた。


 3分も待ったろうか、意外な早さで目の前にやってきた。
 赤味が強い表面の色。ちょっとくたっとなった青菜。盛られた炒めミンチ肉。なかなかの美麺だ。


 ではまず一口、スープをば。


 辛味、酸味、甘みとそれらによるうまさが口の中にずいっと広がる。
 それを追いかけて、舌の両脇に広がるしびれのような辛味。
 おおおお。これはきちんと山椒の辛味を効かせているじゃないの。唐辛子系の辣の辛さ、それに花山椒系の麻の辛さ。いい感じだ。


 では麺を。
 箸で持ち上げる。太さは桂花ラーメンより少し細いくらいか。桂花のようなずっしり感はない。
 で、おもむろに口の中へずずずいっと。


 おおお。これもいい感じの麺だぞ。
 麺の一筋一筋が、ひと噛みごとにこくりこくりと切れて行く感じ。
 実にうまい。


 そうしてずいずいと食い進んでいくのだが。
 味が口に慣れてきた最後の方で。
 どうしても担々麺の最後はミンチ肉やネギなどをレンゲで掬って食べることになる。そこにうれしい味の変化がやってきたのだ。
 賽の目に切ったザーサイ。そして多分干しエビのかけら。肉やネギの中に混じったそれらが、これまでと違ったニュアンスの香りを口の中に広げてくる。
 あああ、最後の最後になって何てコトを…。いろんな味、香り、刺激が複雑玄妙に混ざり合う。もうホントに旨いじゃないかっ。


 そんなわけで大満足大満足の横浜の麻辣担担麺でござんした。この麺を790円で啜れる横浜の人々は幸せだ。