熊本市下通:昭和軒 若手が考えた第3世代は第2世代のハイブリッド

shin_papa402006-08-08

ラーメンエンタテインメント施設が地方に乱立する時代となった。
もはやアミューズメントパークというよりは、単一食分野のアーケードと堕したところが多いと聞く。

我が父祖伝来の地、熊本にも数年前に出現した。その名もラーメン城下町。
城下町といえば熊本市中心部全体を指すのであって、そのネーミングは如何なものかと思っていたが、それはそれで紆余曲折を経ながら、現状のビジネスモデルに落ち着いたようである。


現状のモデルとは、土曜日や日曜日の昼帯をはずした午後に行くと、各店4〜5名程度の常時入店者がある、という程度である。それでペイできる各店が集まっているのであろう。
ボクは福岡在住者であるが、そこに出店している博多ラーメン店を寡聞にして知らない。まあボクが知っている博多ラーメンといってもたかが知れているが。


その中に昭和軒がある。
ここに入る前は鳥亭といい、熊本市三軒町に路面店を出していた。
そこは古くからの下町風情を残した、熊本大学済々黌高校、九州女学院(現ルーテル学院)、市立高校(現文徳高校)に囲まれたエリアである。立地として恵まれていたのか、そうでないのか。ボクらの間では閉まっていることが多い店としてつとに有名であった。


鳥亭のウリは「無化調」。
そのころから店内外にはホウロウ看板や古い映画のポスターなどが貼られていた。何か昭和への思い入れがあったのだろう。


このラーメン城下町は、横浜のラー博のイメージを引きずっており昭和の街角テイストの内装。もとより昭和志向の鳥亭はここに移転するに当たり昭和軒となった。


ということをツラツラ考えながら食券を自動販売機で買って店内へ。
床はセメント打ちっぱなしにラーメン屋の油テラテラを表現したものらしく、わざとらしいヒビまで入っていて結構、キブンである。
今回食するのは煮卵ラーメン650円。


しばらくするとお姉さんが持ってきてくれる。
煮卵は半熟である。
これは熊本ラーメンとしては珍しい。熊本の場合、しっかりと黄身まで固まった、味つき玉子が本流だ(とボクは思っている)からだ。それを齧ると白身にはうっすらと塩味を感じるが、あとは濃厚な黄身の味。こういうものもありかな。

スープは…。
見た目、マー油が浮かんで桂花系である。
だがプーンとごま油の香りが。これはこむらさき系か?
レンゲですくって一口…。

…。

桂花系じゃ。
あのごま油の香りは、スープを口に入れると鼻腔からぶっ飛んでしまう。

焼豚は一枚のし。だが面積は広め。厚みもまあ、満足できる程度。
ただ炙ってあるのが新しい。
齧ると香ばしさが広がる。歯ざわりも固め。
大将軍のトロトロ系とは対極にあるかも知れん。

麺は、熊本ラーメンとしては高加水か。つるつる入る。


あっという間に完食。
こむらさき系かと思わせて、実は桂花系。
トッピングの煮卵と炙り焼豚に技を見せる。
総じて言えば熊本ラーメンニューウェイブを目指すが、既存世代ラーメンにベースを置いた意欲作というところか。
一杯800円程度が主流であるラーメン城下町の中にあって、非常に着実、非常にリーズナブル、非常にオーセンティックな麺。普段使いにも、観光客の皆様にもお勧めである。