熊本JR玉名駅前:はかたや 二階堂麦焼酎CMの世界でちゃんぽんを。

shin_papa402006-10-02

今、玉名はラーメンで町おこし中という。
そのチラシを先日知人からもらった。
ならば行かんといかんな。

玉名には玉名ラーメンというローカルジャンルがある。
熊本ラーメンはニンニクを仕込んだ油やチップで個性を発揮するが、その祖となる久留米ラーメンは普通麺、トンコツスープのみで勝負する。
玉名はその位置的に中間であり、個性的にも中間だという。
もっとも、熊本市を本拠とするチェーン店の進出もあり、ローカルジャンルの様子も少々変わってきたかもしれない。

高速を、いつも降りる植木の手前の菊水インターで降りる。
そこから菊池川に沿って有明海の方面へ走れば20分少々で玉名の町だ。
菊池川流域の山鹿、菊池に広がる平野は古代より穀倉地帯として規模をなしていた。
この玉名はその膨大な産物を海運で運び出す貿易港として発達した。
それゆえ景行天皇もこの地に上陸しているのである。

そして今…。
特急は止まるが…。
新幹線はこの町の中心を通ることはない。
玉名としては一生懸命に町おこしを図っていることであろう。

その店は常日頃美味いと聞いていた。
先日チラシをくれた人も、「ここ、いったけど美味かったっすよぉ」と完璧お勧めムード。
道すがらチラシをチェックして営業時間も確認した。
早く食べたい、もう博多の街中で麺を食べて行きたいという家族を説得して昼過ぎに、玉名駅に着いた。
私はパンを食べたいとムズカる下の娘用に、玉名駅のキオスクでパンを買って、さて駅前のその店へ…。


休みじゃん。


この家族への説得と、圧力に屈しなかった努力は一体なんだったんだろうか。
まぁ、田舎の店っちゃぎゃんありますと。
でも、町ぐるみで危機感があって乾坤一擲のラーメン企画ではなかったのか??
ボクはがっくりと肩を落として…。

落としている場合ではない。
家族の「腹減ったぞ」という鋭い眼光がボクの背中に突き刺さる。


と。駅前に「はかたうどん」という、怪しげな食堂が。
「あそこに、行こう」父の威厳をもって厳かに宣言すると。
「ええーッ」家族から一斉にブーイング。

その店、めちゃくちゃ疲れ果てた外装なんである。
しかも、熊本の玉名まで来て、博多かよ…という感情もあろう。
店の入り口から除くと、店の親父さんは奥の畳の部屋で寝そべってテレビを見ている。
ボクも普通なら入らん、こんな店。
だが、苛ついている家族をなだめるには、とりあえずこいつらの腹に物を入れてやらんとイカン。


「こんちはー。いいですかぁ」
ほかに客がいない店内に入り、寝そべっている親父を起こすときはあくまでも低姿勢である。人生の艱難辛苦を乗り越えてきたモノにしかできないワザだ。
「いいすよー」当然、親父は起きてきた。


ボクは肉うどん450円(安いな)。
妻はちゃんぽん480円(これも安いな)。
息子は焼き飯480円(まあ安いな)。
店の中は薄暗く、広めの三和土にテーブル席を二つ置いた感じ。
カウンターもあるがしばらく使われた形跡がない。
壁ははがれかけたベニヤ板。もう黒ずんで木目も見えない。
この雰囲気、どこぞで見たぞ。
うーん。
あ。
二階堂麦焼酎のCMじゃん。
つまり、産業遺跡………。
これ、この場で家族との会話には不適切だな。
ということでその場では胸にしまったのである。


しばらくして運ばれてきた妻のちゃんぽん。
なぜか耐熱のグラタン皿に入っている。
少々少な目かな。
ちょっともらってキャベツを齧る。


おお?
キャベツの甘みが強い。
スープは出来合いの奴かも知れん。
このキャベツの甘みが、スープとのコントラストを描き、意外なウマさ。
麺の茹で上がり具合も悪くない。
この480円はめちゃくちゃ安いぞ。


ボクが食べたうどんのこと?
それは特に書くことはない。