熊本市桜町:ニイハオ 軽いサッパリとした醤油ラーメン。
熊本はラーメンの街だ。ほんの20年ほど前は熊本市内に製麺業の会社やお店がいくつもあり、地場産品として「麺」が一人気を吐いていた。その後業界の再編と寡占化が進み、いまでは製麺業を営んでいる企業や街なかの店は数えるほどしかない。
熊本のラーメンといえば熊本ラーメンだ。九州中から高速バスが集結し、熊本中の路線バスも集散する熊本交通センターの地下では、熊本ラーメンの二大巨頭といわれる「桂花」「こむらさき」が真向かいに対峙している。べつにラーメン博物館のような施設を意識している分けではない。一頃熊本市の慶徳町に「慶徳まんじゅう」「慶徳堀まんじゅう」の二軒が隣り合わせに店を開いていて、それぞれに「本家」「元祖」と主張していた。ここもそういう気概の賜物なのかもしれない。
さて先週の金曜日、長崎から鳥栖をわざわざ迂回して走る高速バスで3時間あまり揺られて着いた熊本交通センター。ちょっと風邪気味だったせいかバス長旅のせいか、熊本ラーメンを口にすると何かに負ける気がした。そうして交通センターの地下を歩いていると…新しい店が開いている。
「ニイハオ」。
傍らには漢字で店名が書いてあるが、先ほど交通センターHPで確認したところカタカナでいいようだ。
前述のラーメン激戦地からわずか25m。そしてここには醤油ラーメンがラインナップされているのであった。激戦地の傍らで果敢に挑戦…てか?
なら食べてみるしかあるめい。
「ラーメン、お願いします」と注文すると、「はああい」とお姉さんが応える。ちょっと発音が違う感じ。ネイティブの店だな、こりゃ。こんな店は大当たりか大はずしかのいずれかである。
しばらくすると運ばれてきた。
ほほー。シンプルこの上ない麺ですな。
まずはスープをズズズとレンゲで啜る。醤油の香りが立っていない。油の甘みを感じる。ちょっと化調気味かな。ベースは鶏ガラダシだと思うが、醤油もダシも個性を抑えて、マイルドなまま、舌先に際立った香味を残すこと亡く喉を通り抜けて行く。ふうん、こういうスープもあるのだな。
麺はスープの下にきれいに折り畳まれて鎮座している。こりゃ面白い。特に麦の味を前面に出すことはないが、支那そば食ってるという実感を得られる麺だ。上がり具合は周囲が透明で中に白い芯が見えるアルデンテ。悪くない。
トッピングは味を付けられた肉。そぼろになっているから、これをきちんと食べようとするとばらけた肉をスープごと掬わないといけない。高血圧系人には辛い設定だ。
玉子は、また面白い。熊本の太平燕用のやつを流用したのかな。ゆで卵を一度揚げたものを使っている。周囲が皮のようなテクスチャーとなって、少し香ばしくこれはこれでよい。
最後に値段が昼時だったせいか500円。値段的には大変よろしい内容でした。