長崎市大波止:桃華園 麺が凄みの皿うどん発見。
長崎はチャンポンの街だ。そのチャンポンに押されて今ひとつ表に出ないのが皿うどん。これは皿うどんが「パリパリ麺」と「柔らか麺」に仲間割れを起こしているのが遠因と見た。
いずれも炒めた野菜や肉、魚介を餡でとろりとさせて麺の上にかけるフィニッシュの形態は同じだ。だが麺が違う。大方、店に入るとおばちゃんがチャンポンにするか皿うどんにするか聞いてくる。その次には、
「麺は柔らかいの?それともパリパリの?」
という更なる選択を要求してくるのだ。
前々回だか、佐世保の大善で食べたのは「パリパリ麺」の皿うどん。パリパリ麺はチャンポン麺を揚げてパリパリにしたものだと思うが、店によってはその細さを競ったりしているから、また独特の世界があるのだろう。
今回、桃華園で選んだのは柔らか麺の方。
しごとの合間に飛び込んだ店だ。2ヶ月ほど前にも一度飛び込もうとしたが、満員で入れなかった。昔は波止場の際にあったことが想像される、ちょっと裏道の知る人ぞ知るという感じの店構え。その店構えにココロがくすぐられたのだった。
時間は昼飯ピークを少し過ぎた頃。今なら席があるかもと思って飛び込んでみた。ドアを開けるとカウンターは満席。無理だったか…と思ってきびすを返そうとしたら、「奥があいとるよ」とおばちゃんに案内された。
うーむ。ちょっと日本国内のチャンポン屋さんの内装とは思えない別室。なんだか韓国のオンドルのようである。行ったことはないけど。
で、10分後くらいに出てきたのが写真の皿うどん。写真では分からないかも知れないが、大善ほどではないにしても凄いボリュームである。
眺めていても仕方ないので、まずは一口。
餡が絡んだもやし、キャベツ、豚肉、ニラ、チャンポン蒲鉾、竹輪、ゲソ…。餡の甘みがまず口の中を満たし、それを追いかけて塩味と野菜や魚介、肉からの旨味が広がる。ほー。まずは甘みですか。でもそれも悪くない。
そして麺をほじくり出して食してみる。
むむむっ。これは…。
すげーぞ。よくある唐灰汁のぼそぼそ系麺ではない。博多のお宝屋や、黒田屋系の手打ちのような伸びと食感がある。しかもだ。多分一度、麺だけを炒りつけている。そうすることで麺が餡と絡まりやすくなり、場合によっては麺が餡を吸ったりする。さらには香ばしさが味覚・香りの演出をする。
これは凄い一手間である。
すげー、すげーと思いながら、一思いで食べてしまった。最初はボリュームに圧倒されたが、するりと入ってしまった。
この店の近くには県庁があり、その職員にも愛好者が多いという。またボクらの入店中に海上自衛隊の面々もぞろぞろと入ってきた。地元の方々に愛されているソウルフルな長崎チャンポン・皿うどんの店だと見た。