西松浦郡有田町:上海飯店 はんぱない。
このお店、この麺ブログに書くべきか少し悩んでしまった。
近い将来、きっと別の切り口で行くことになると思う。
それほど、悩む店である。
ある日、陶磁器で有名な長崎の波佐見(はさみ)で打合せすることになった。
ちょうどお昼時。スタッフを迎えに波佐見から山ひとつ超えた佐賀の有田に行ったのだが、スタッフが乗った電車が来る前に昼飯を食べとこうと、街の中をゆっくりとクルマを走らせていた。
すると、こんな片田舎の町(失礼!)なのに、駐車場待ちをしているくらい繁盛している中華料理屋がある。しかもクルマの半分は他県ナンバー。これは入ってみなくては。
店の中は広い土間。そして小上がり。さらに奥にもテーブル席。さらに表の玄関から入ると和室かなにかがあるようで…要するにメチャクチャ人が入るようになっている。
これはタダモノではない。
町の定食屋系中華料理屋だから麺ものを…と思ってメニューを見ると「辛みそラーメン」つーのがある。なればそれを。
待つこと5分。
サラダが出てきた。
ラーメン頼んでサラダがいきなり出てくるのは珍しい。プレスハムを刻んだものが載ったキャベツの千切りが主体。ラーメンの前に野菜というのはいいなあと思いながら箸を付けた。
その瞬間、「サービスでーす」という声とともに別の物体が。
見ればなすの天ぷらにゴマだれがかかったもの。
意外とでかい。
これでご飯があれば昼飯は成立するよな…と思いながら、はたと困った。なすの天ぷらゴマだれ掛けはどう考えてもご飯のおかずだ。でもご飯が出てくる気配はない。一方、これからラーメンが出てくることを考えるといまご飯がやってきても困る。というか、辛みそラーメンしか頼んでいないのに、この店はこの先何が出てくるんだ?
そういう迷い、葛藤などが5分間。
まあいいや、とばかりなすの天ぷらにカブリついたとき、ついに辛みそラーメンが出てきた。
周りの人たちが食べている大盛りの定食類を見ていたときから小さな予感があった。
そしてその予感通り、辛みそラーメンはちょっとした洗面器のようなドンブリに入って出てきたのである。
でかい。スープで顔が洗えそうだ。
もう、笑うしかない。
で、驚いて笑いながら眺めていても仕方ないので、まずはレンゲでスープを啜ってみる。
すると意外とさっぱり目の味噌味。甘辛さをベースとしている。これは飽きずに最後まで行けるかも知れんという思いが脳裏をよぎる。
次に麺を。
スープの下からヨッコラショと箸でたぐると、九州には珍しい中太多加水卵系縮れ麺。その持ち重りする麺をズバババと口の中に運ぶ。
茹でた白菜、もやし、ネギ、キクラゲも一緒にもぐもぐ。
口の中一杯に頬張っても、目の前にはまだ大量のラーメン。
ある意味大変幸せ。
チャーシューは厚みも面積も大満足な量。それが3枚も入っている。サービス満点ダア。
そして20分後。僕はお腹をさすりながら店を出た。
この店、鄙にありながら量という切り口(しかもうまい)で多くの客を広域から呼んでいるのである。ある意味、1軒で地域おこししているようなもの。
世の中には地域おこしコンサルとか、地域おこしフォーラムは数多あるが、このように実践しているところとお客さんが喜ぶ様を実地に見て体験し、しかも自らやってみることが大事なんだと、こういう現場に行くと強く思う。