長崎市元船町:山や 長崎のさっぱり豚骨。

shin_papa402008-06-12

 長崎はチャンポンと皿うどんの町だ。麺ものとしてはこの両横綱の存在感があまりに大きいために、その他の麺の影が薄い。麺としてはジャンル違いで「五島うどん」を椎名誠さんが絶賛していたり、「島原素麺」が鹿児島の日本一の流しソーメンの聖地「唐船峡」の町営流しソーメン屋さんで全面採用されているなどと気を吐いているが。だが中華系麺としては両横綱の存在感が絶大だ。


 そんな長崎なのだが、それでも町なかには「らーめん」の赤いのぼりを上げて、ラーメンで勝負を挑んでいるいくつかの店がある。


 先日そんななかの一つ、「ラーメン厨房・山や」へ行ってみた。
 店の前にはメニューが出ていて、最初から値段とかも分かりやすい。ボクのような突撃系一見さんには大変ありがたい。店の外から覗くと店内の人の入りは8割程度。時刻は12時半を回ったあたり。客の支持という店でもまあ頃合いかもしれん。


 カウンターに座って何を頼むか悩んでみる。入店まではデフォのラーメンを考えていたんだが、この日はご飯とマーボ春雨とラーメンのセットが650円。ラーメン単体は580円だったかな。ここ価格差ならば、セットでしょう。


 店に入ったときから気づいていたんだが、香しい豚骨スープの匂いが漂っている。きついと獣臭ともいわれるモノだが、この香りがしないと豚骨ラーメンをソウルフードとするボクなんかは魂が揺さぶられない。その点でこの店は第一段階合格だ。


 5分くらいでセットが運ばれてきた。トッピングは水菜、白ネギ、そして煮豚。黒胡椒が最初から振りかけられてる。
 ではまずスープから。レンゲで掬ってズズズと。胡椒の香り、浮かんでいる胡麻の食感、そしてアッサリ系の豚骨スープ。鶏ガラも加えられてるんだろうか。悪くない。


 麺は中麺。太くも細くもない。食味も麦のクセや旨味を前面に押し出したものではなくちょっと印象に乏しい。だがサッパリしたこのスープにはバランスよく合っている。


 ほほー、軽い感じやねえとずるずる食べているうちに完食。


 食後、口の中に甘い感じが後を引いて残っていたのは化調のせいか。それが麺に入っていたのか、マーボ春雨に入っていたのかは申し訳ないが判然としない。だがここまでシンプルにしてみせたラーメンは、つまりはゴッテリとトッピングが乗る長崎の両横綱に対するアンチテーゼだといえなくもない。

 チャンポンと皿うどん王国の長崎に、敢然と戦いを挑むサッパリ系ラーメンあり、である。